海上自衛隊の対潜哨戒機「P-1」(海上自衛隊のサイトより)

 2010年4月にキロ級潜水艦2隻を含む10隻の中国軍艦艇が沖縄・宮古島間を通過し西太平洋で訓練を行った。

 中国の解放軍報はこの時、この活動により「三戦」を行うと報じた。

「三戦」とは、「世論戦」、「心理戦」および「法律戦」の3つからなり、「中国人民解放軍政治工作条例」に規定されている。

 条例には、「中国が三戦を実施し、敵軍の瓦解工作を展開する」と記述されている。

 中国があらゆる活動について「三戦」を意識して、独善的な国益獲得を目論んでいるのは周知のことだ。

 そして、昨今注目されている武力攻撃に至らない「グレーゾーン」事態は、まさにこの「三戦」が活発に行われている状況である。

 日本も積極的に「三戦」を仕かける必要があり、後れをとってはならない。

 我が国周辺海域における中国潜水艦との攻防を、「三戦」の観点から分析する。

中国潜水艦が悪意ある動き
日本も「世論戦」に対応せよ

 6月18日、奄美大島沖の接続海域内を潜没して通過した潜水艦について、防衛大臣が「中国の潜水艦と思われる」と述べた際、記者が、「今後とも公表していくのか、中国の反応を確かめるために今回特別に公表したのか」と質問した。

 これに対し、大臣は、「様々な情勢に鑑み判断する」と回答している。

 防衛省が警戒監視活動によって探知した目標を公開することは、自らの能力を暴露するといった考えもある。

 しかしながら、「世論戦」の観点から、中国の傍若無人な活動を世論に訴える効果がある。