2016年11月、薬物乱治療・リハビリセンター発足式でドラッグを吸うようなジェスチャーを交えながら演説するドゥテルテ大統領(写真:ロイター/アフロ)

(PanAsiaNews:大塚 智彦)

 フィリピンにおいて、麻薬関連犯罪で実刑判決を受けて服役中の麻薬犯9人が刑務所内で死亡していたことがこのほど、フィリピンのマスコミ各社が入手した「死亡服役者リスト」で明らかになった。

 リストに名前を連ねていたのはフィリピンでも大物の麻薬組織幹部、著名密売人ばかりで、中には麻薬組織から上院議員への政治献金事案に関連した裁判で重要参考人とされていた人物も含まれている。

 さらに死亡者全員の死因が「コロナウイルスによる感染死」とされていることから、司法省などから「リスト」の中身と死因に関する詳細な報告を刑務所行政所管の矯正局に対して求める事態になっている。

 加えて上院、下院の議員からは「真相解明の調査を実施するべきだ」との声も高まり、司法長官も独立性の高い国家捜査局(NBI)に調査を指示するなど「いったい刑務所内で何が起きたのか」と真相解明を求める声が高まっている。

モンテンルパの刑務所で“コロナ感染死”

 フィリピンのマスコミは7月19日、マニラ首都圏モンテンルパ市にある「ニュー・ビリビッド刑務所」で5月以降に「所内で死亡した服役囚リスト」を入手し、そこに記された死亡服役者の名前、死亡月日、死因などを一斉に報じた。各マスコミ報道によると「リスト」は18日夜に各メディアに流失したもののようだが、その流出源や流出ルートは明らかにされていない。

 このため刑務所関係者ないし矯正局関係者あるいは警察などの治安当局関係者などによる内部告発による「リスト」の可能性が高いと受け止められている。