春から夏までの数カ月間、大学はほぼリモート教育に切り替わり、教師と学生とはパソコンやスマホを介して向き合うようになった。専修大学商学部の渡邊隆彦准教授が大学の教育現場最前線から、学生、教師、事務職員を含む、ヒトと大学との新しい関係を解き明かす。
 学生へのアンケートでは、リモート授業をポジティブにとらえていたという意外な事実が判明。だが、「大学の機能は知識付与だけではない」と渡邊准教授は指摘する。新連載第2回! (筆者:渡邊 隆彦、構成:鍋田 吉郎)

 リモート授業初回出席率99%(履修登録者約160名)。従来の対面型授業をはるかに凌駕する高い出席率は大きな驚きでした。

 履修登録者およそ160名のうち、欠席者は1名だけだったのです。

 このとき私がまず感じたのは、「学生たちは、朝ダルかったり家が遠かったりして、教室に来るのがよほど面倒だったんだ・・・(ちなみに私の授業はほとんどが1時限目で朝9時スタート)」ということ。そして、「学生たちも1カ月間放置されていたので、不安や孤独を感じ、『つながる』ことに飢えていたんだね」ということでした。

 授業開始から約10日たった5月20日、ゼミナールの学生(3年生10名)に、リモート授業を1週間受けてみて感じた本音を聞きました。前回紹介したリモート授業へのポジティブコメントは、ざっと以下のとおりでした。

「通学時間がかからず、とくに朝が楽」

「オンデマンド再生型(YouTube型)授業の場合自分のペースで学習できる」

「ひとりのほうが授業に集中できる」

今回はネガティブコメントを見てみましょう。