(英フィナンシャル・タイムズ紙 2020年7月17日付)

ホワイトハウスで労働政策についてスピーチするイバンカ・トランプ氏(6月20日、写真:ZUMA Press/アフロ)

 全米製造業者協会(NAM)が今年、ドナルド・トランプ大統領の娘イバンカ・トランプ氏に栄誉あるアレクサンダー・ハミルトン賞を贈った。

「政府の誰もが見せたことのないようなやり方で、並外れたリーダーシップを発揮して製造業への揺るぎない取り組みを示してくれている」とのことだった。

 これこそまさに「おべっか勲章」をもらうべきだったコメントだろう。

 自らをファースト・レディーならぬ「ファースト・ドーター」と呼ぶイバンカ氏は先日、3000万人に達しようかという米国の失業者に「何か新しいことを見つける」よう促した。

 新しいスキルを身につけなさい、違う仕事を探しなさい、とアドバイスした。

 ドナルド・トランプ大統領が「忘れられた米国人」の地位を高めると誓った4年後に、その娘が横やりを入れていることになる。

 経済学を誤解していることを称える賞がもしこの世に存在するなら、それはイバンカ氏が受賞するべきだ。失業したのは自分のせいだなどと言われたい人はいない。

 米国では4月、2050万人という記録的な数の人が職を失った。これが意味しているのは、2000万人の米国人が突然スキルを失ったということではない。

 米国経済がロックダウンされたということだ。浮世離れの指標として、かのマリー・アントワネットでさえ、これにはかなわなかったろう。