またしても虎に醜聞だ。プロ野球・阪神タイガースの西勇輝投手が16日発売の「週刊文春」で30代前半の女性ファンとの不倫が報じられ、大きな波紋を呼んでいる。報道によれば、5月3日に出身地である三重県内のホテルに昨年10月から不倫関係にあった30代前半の女性ファンを呼び出し、密会していたという。

 同誌の発売前日の「文春オンライン」でいち早く報じられたことを受け、西は「プライベートのことでお騒がせし、プロ野球選手として自覚に欠ける行動であったと深く反省しています。家族やチームをはじめ、ご迷惑をおかけした方々のためにも、今後はより野球に集中しプレーで取り返すことができるよう努めます」と球団を通じてコメントを発表。また、阪神側も西については「厳重注意を行うと共に、球団規則に則り厳正に処分しております」などとし、早々と幕引きを図ろうとする姿勢が垣間見えた。

 しかし、この一件で最大の問題とされるべき点は不倫密会の日が5月3日であったことだ。新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言が全国で発令されていたにもかかわらず同誌の報道によれば、西は不倫相手を「コロナあるし」と自覚がありながらタクシーでわざわざ呼び出していたというから開いた口が塞がらない。

世間が自粛中に、感染リスクを冒して密会

 西はオリックス・バファローズから国内FA権を行使して一昨年のオフ、阪神へ移籍。移籍2年目の今季は新天地で初めての開幕投手に選ばれ“虎のエース”としてシーズン開幕前から「背中で引っ張れる投手になる」と力強く誓っていたばかりだった。本来なら野球少年たちからも模範とされるべき有名選手が「不倫」という恥ずべき醜聞を引き起こし、さらに世の中の誰もが「ステイホーム」を心がけて自粛していた最中に感染リスクを冒してまで煩悩にとらわれながらの愚行に及んでいた。自分さえよければいいという、極めて無責任な考えの表れと評するしかないだろう。これは正直に言って弁明の余地がない。

2014年11月、小久保裕紀監督率いる侍ジャパンの一員として、日米野球で活躍する西勇輝(写真:アフロスポーツ)

 この西の醜聞に関し、一部で「不倫はプライベートの問題だから謝罪する必要はない」と指摘する意見を目にしたが、それは論点がずれている。この一件には何度も繰り返すが、新型コロナウイルスへの感染リスクも絡んでいた。結果論として運良く何もなかったかもしれないが、実は無症状感染だった可能性も完全に否定できずそれは分からない。いずれにせよ感染の危険性を承知していながら、家族以外の人物と密会をしていたことはやはり強く非難されなければいけない。