現在、全社で在宅勤務中のカケハシ。オフィスに社員がほとんどいない

(吉田 典史:ジャーナリスト)

 ITベンチャー企業は、はるか前から他の業界よりも比較的スムーズに在宅勤務をしている。だが、それを可能にしているものはあまり知られていない。

 今年(2020年)4月以降、新型コロナウイルス感染が拡大して以降、多くの企業で在宅勤務が始まるとマスメディアはパソコンや周辺機器、ネット環境、Zoomなどのオンラインのツールを繰り返し取り上げた。確かにそれらも大切な報道なのだろう。

 だが、「働く場所や時間を柔軟にする」ことができる要因は、実は社内の仕組みや風土にこそあるのではないかと筆者は思う。言い換えると通常のリアルな職場で仕組みや人間関係が機能していない中、在宅勤務は稼働しないのではないだろうか──。今回はそのような問題意識を持ち、取材を試みた。

まず、自社内で仕組みを作る

「2016年の創業時から、在宅勤務などテレワークがスムーズにできることを前提に社内外の仕組み態勢、文化をつくり、整えてきた。今回のような事態になった場合でも、業務遂行をするうえでの混乱やトラブルはないと考えている」