北方領土の択捉島、オルガ湾

 ロシアの憲法修正の賛否を問う全国投票は2020年7月2日に開票作業が終了し、4日に修正憲法が発効した。

 ロシア中興の祖を目指す力の信奉者、ウラジーミル・プーチン大統領は、旧ソ連の崩壊で失った大国の威信を復活させる使命感に燃えており、75%を超える圧倒的多数の賛成を得て、自らが望めば2036年まで権力の座にとどまることが可能になった。

 ロシア大統領の任期は1期6年であり、プーチン氏はクーデターなどで失脚しない限り、83歳まで強権的な政治手法でロシアに君臨できるのである。

 プーチン氏は、広大なシベリアの大地と天然資源を活用して極東の經濟開発を実現し、ロシア大国の復興を成し遂げ、偉大な大統領としてロシア史に名を残そうと考えている。

 極東の経済発展を成就させるためには、中国と日本との協力関係が重要なテーマとなる。

 しかし、シベリアで開発した石油は、北方領土問題を抱える日本が購入せず、中国に底値で買い叩かれている始末である。

 ロシア極東の地であるシベリア、サハリン、千島列島の人口は、色丹島を除いて一向に増加しない。

 モスクワから遠く離れた僻地という理由だけでなく、物価が高く、産業がないため、住民は働くことができないうえに、老人には耐えがたい冬の寒さがある。

 逼迫したロシア経済では、優遇政策をもって入植者を募集できない。北方領土を堅持するためには、住民の経済の安定化と不安感を除去する以外にないのである。

 日本との經濟協力のネックとなっている平和条約締結交渉は、半世紀以上も続いているが遅々として進展しない。