(英フィナンシャル・タイムズ紙 2020年7月10日付)

ロナルド・レーガンとマーガレット・サッチャーが1980年代にソビエト連邦の崩壊をどのように加速させたか、思い出してもらうのには骨が折れる。
勝利した瞬間の映像は昨日のことのように鮮明だが、その時の雰囲気はもう別の時代のように感じられる。とはいえ、骨を折るだけの価値はある。
新型コロナウイルス感染症「COVID-19」に対する米国と英国の対応がお粗末なことの遠因は、冷戦終了後の自画自賛に求めることができる。
どちらの国も、世界のほかの国々から学ぶことはもうそれほどないと思ってしまったのだ。
微細なウイルスがものの数カ月で、英米の傲慢さの裏側を白日の下にさらした。
パンデミックが英米のブランドに及ぼしたダメージの回復には、それよりもはるかに長い時間がかかる恐れがある。
コロナ対応で世界に見劣り
この話はグラフを見るとよく分かる。欧州大陸諸国はスウェーデンを除き、今年5月に、右肩上がりだった感染者数のグラフを平坦にすることに成功した。
その後も、平坦さを維持するために慎重に施策を講じている。東アジアでは、ほとんどの国が4月のうちにそのレベルに達していた。
米国はグラフの平坦化を一度も達成できなかったが、すでに半分の州が諦めている。
英国は6月にようやく達成したものの、それまでに死亡率が世界で2番目に高くなっている(米国は現在第7位で、今も上昇中)。