連載「実録・新型コロナウイルス集中治療の現場から」の第7回。新型コロナウイルス感染症で3万人以上の死亡者を出したニューヨークの現実とは? 最前線で奮闘する集中治療医に讃井將満医師(自治医科大学附属さいたま医療センター副センター長)が訊く。

「いまの日本は“2週間前のニューヨーク”かもしれない」

 3月下旬、新型コロナウイルス感染症拡大の危機にあった日本では、そんな報道がありました。結果的に、日本では感染爆発は起こらず、医療崩壊もなんとか免れました。それに対して、ニューヨーク州では39万人以上が感染し、3万1000もの命が奪われました(6月25日時点)。

 いったいニューヨークでは何が起こっていたのでしょうか?

 現地のICUで200名以上の新型コロナ感染症患者を診た、マウント・サイナイ病院麻酔科・集中治療部准教授の野本功一先生にお話を伺いました。

野本功一氏
1997年、筑波大学医学専門学群卒業。自治医科大学附属さいたま医療センター麻酔科・集中治療部、昭和大学横浜市北部病院麻酔科などを経て、現在、マウント・サイナイ医科大学集中治療科・麻酔科准教授。

*   *   *

野本 私が勤務するマウント・サイナイ病院は、セントラルパークの真横にあります。病床数は1134。ベスト病院ランキングで14位に入るなど、全米でも有数の病院です。