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“溝手落とし”が事件の出発点か

 2019年7月の参院選、広島選挙区での河井案里氏の当選で一番あおりを食ったのが、それまで同選挙区で5回当選してきた溝手顕正(みぞて・けんせい)氏である。参院自民党のナンバー2の幹事長やナンバー1の議員会長を歴任してきた人物である。

 溝手氏と安倍晋三首相には、因縁浅からぬものがある。1つは、2007年7月の参院選で安倍首相率いる自民党が27議席も議席を減らし、小沢一郎氏が率いる民主党が28議席増やし、野党が参院での安定多数を握った時のことだ。安倍首相は続投を望んでいたが、当時、国家公安委員長・防災担当相として入閣していた溝手氏は、記者会見で「首相本人の責任はある。(続投を)本人が言うのは勝手だが、決まっていない」と痛烈に批判していたのだ。

 実際、この2カ月後に安倍首相は突如辞任を表明し、内閣総辞職となった。