トランプ氏が再選されればNATOには深刻な混乱がもたらされるだろうが、プーチン氏の期待ははかない夢に終わるだろう。

 11月の選挙の結果がどうなろうと、NATOはトランプ政権よりも長続きする。

 戦略を重視するモスクワのリーダーが自問すべきことは、ロシアがNATOをそれほどの脅威と見なし続けるのはなぜなのか、ということだ。

 プーチン氏は、西ではなく東に目を向け、中国の習近平国家主席がさらに攻撃的な外交政策を打ち出していることに注目した方がいい。

 あるレベルでは、現在の中国・ロシア枢軸は完璧なほど理にかなっている。

 どちらの国も、米国が設計した第2次世界大戦後の世界秩序を拒否しており、西側の価値観に根ざした「ルールに基づくシステム」という概念も否定している。

 中国もロシアも、強者が勢力圏を切り分けるというウエストファリア条約的な秩序の方が好きだ。

 習氏にしてみれば、この枢軸が利益をもたらすことは自明だ。

 ロシア政府は、中国経済の成長継続に必要な石油とガスを安定供給してくれる。中国は西太平洋での海洋覇権を求めて米国と対立していることから、ロシアとの関係は戦略的な安心感ももたらしてくれる。