(英エコノミスト誌オンライン版 2020年6月24日付)

ウィリアム・バー司法長官(6月15日、ホワイトハウスで、写真:AP/アフロ)

ウィリアム・バー司法長官は連邦法の執行を政治目的に利用しているように見える。

 ドナルド・トランプ大統領が2018年12月、ウィリアム・バー氏を次の司法長官にすると発表した時、首都ワシントンに安堵の空気が広がった。

 2人の前任者――人種差別的な発言をしたと非難されて1986年に連邦判事への就任を拒まれたアラバマ州選出の元上院議員ジェフ・セッションズ氏と、長官代行になったものの力不足だったマシュー・ウィテカー氏――とは異なり、バー氏は主流派で経験も豊富だった。

 ロナルド・レーガン大統領の時代にホワイトハウスで働いたことがあり、1990年代前半にはジョージ・H・W・ブッシュ政権の司法長官を務めた。

 司法長官の承認に際して行われる公聴会では、連邦議会上院の司法委員会に対し、「法の執行への政治介入をいかなる形であれ容認することほど、統治システムを破壊する行為はない」と語っていた。

 しかし今では、バー氏はこの言葉に背いた、自分の率いる司法省をトランプ氏とその仲間たちを守る政治の道具に変えてしまった、と多くの人が考えている。

 米司法省は完全に独立した組織ではない。司法長官を指名するのは大統領で、司法省の方向性や資源の使用法について大まかな政策判断を下すのも大統領だ。

 宗教の自由を優先する大統領もいれば、投票権をめぐる裁判を重視する大統領もいる。そうした決断は、有権者に開示されている政策の好みから生じている。

 従ってこれは、個々の事件における検察当局の判断に政治的な配慮が及ぶのを容認することとは異なる。