空港で働く非正規職を正規化することは良いことばかりではなさそうだ

 韓国の文在寅大統領は、2017年の大統領選挙で、「非正規職の削減および処遇改善」と「公共部門の非正規職ゼロ化」を公約に掲げた。

 この公約を実現するため、仁川空港公社は1900余人の「空港保安警備員(非正規職)」を正規職に転換すると発表した。

 この発表に対し、就活生たちが強く反発している。しかも生半可な反発ではない。少し前の日本の流行語で言えば「はんぱねー」のだ。

 労働条件の悪い非正規職を正規採用するのは、働く人にとって良いことのはず。それなのになぜ、就活生たちが反発するのか――。

 仁川国際空港公社はその名の通り、仁川国際空港を管理する公社である。

 仁川空港は、2018年まで国際空港協議会(ACI)が主催する世界空港サービス評価(ASQ)授賞式で12年連続最高空港賞を受賞したほどの世界的に認知度の高い空港である。

 韓国の民間企業では、早期退職を促される場合が往々にしてある。

 しかし、公社は公務員よりもずっと給料がよく、しかも定年まで保障される夢のような職場なのである。

 さらに、仁川国際空港公社は韓国の就活生が選ぶ「就職したい公社」の人気ランキングでダントツの1位である。