(英フィナンシャル・タイムズ紙 2020年6月19日付)

過去の栄光にすがる英国に世界の眼は厳しい

 欧州連合(EU)離脱後の英国がどんな国になるかを、新型コロナウイルス感染症「COVID-19」が先取りして見せてくれた。

 ボリス・ジョンソン首相率いる英政権は、EUのくびきを逃れれば英国は「世界に名だたる」国になるというスローガンを掲げている。

 国家としての決断を自由に下したり、国際舞台での背景を自分で設定できたりするようになれば、英国は世界貿易機関(WTO)に直接加盟する国として自由貿易を支持し、気候変動のようなグローバルな課題についても独自の政策を決定・展開するとしている。

 もちろん、理屈のうえでは英国はまだEUのルールの下で行動している。今年12月にブレグジット(英国のEU離脱)の移行期間が終了するまでは、このルールが有効だ。

 しかし、最も熱心なブレグジット支持者でさえ、新型コロナウイルスを制御しようという欧州各国の取り組みにEUが介入しているとは主張しないだろう。

 この問題については、EUはほとんど姿を見せていない。

 欧州各国の政府は独力で対応する方針を採用したが、それで利益を得た者がいないというエビデンス(証拠)があることを考えれば、EUの不在は残念なことだ。

パンデミックは好機と考えた首相だが…

 とはいえ、ジョンソン氏にしてみれば、今回のパンデミックは英国の強さを示し、「グローバル・ブリテン」として生まれ変わった真の「主権」国家という新たな装いで何ができるかを見せつけるチャンスだった。

 ひょっとしたら、感染が広がり始めた3月初めにジョンソン氏が自信たっぷりだったのは、これで説明できるかもしれない。

 読者は覚えているだろうか。ジョンソン氏はあの時期、病院を訪れて医師たちと握手したことを自慢げに語っていた。

 首相官邸からの強気なメッセージが伝えていたのは、英国には世界トップクラスの疫学者と研究機関が揃っている、ということだった。