海上自衛隊のイージス艦「あたご」(海自のホームページより)

ミサイル防衛から電磁バリアへ

 6月15日の夕刻、防衛大臣は首相の決断として事実上、イージスアショアの導入を断念することを発表した。

 手続き上、政治家へは説明がなかったとして、歴代防衛大臣などからは非難の声が上がっている。

 しかし、イージスアショアの配備はそもそも、日本の3段構えと称するミサイル防衛の実態を議論することなく浮上した計画であった。

 実際には必要な弾数もなく、北朝鮮のような変化球にも対応できず、敵の飽和攻撃に無力な「張り子のトラ」であることを理解する力もなかった。

 今回の配備断念は、自己満足に陥っていた日本の現実を吐露しているに過ぎない。

 筆者は、現防衛大臣と信条は異にするが、今回の決断は、費用対効果を見極めて腹を決めたのならば英断であり吉であったと考える。

 しかし、中国・北朝鮮に対して白旗を揚げたり、財務省と結託して防衛費を新型コロナウイルス感染症対策のために削減しようとしているのならば、大凶である。

 今回の決断で本当に非難されるべきは、防衛の必要性よりも反日の外国勢力、日本防衛など関係ないという反対派の思惑で国が断念したという構図だ。

 今後の日本の防衛にとって悪しき前例となるだろう。特に、中国の超限戦が日本で活発になるだろう。