北朝鮮が短距離弾道ミサイルとみられる飛翔体の発射実験を行ったことを報じるニュースを韓国・ソウル駅で見る人たち(2019年8月6日、写真:Penta Press/アフロ)

(黒井 文太郎:軍事ジャーナリスト)

 6月15日、河野太郎防衛相は「イージス・アショア配備計画の停止」を発表した。

 迎撃ミサイルを撃ち上げた際、ブースターが燃え尽きて落下するが、それを自衛隊演習場内に確実に落とすことが難しいことがわかったため、その改良にかけるコストや時間の問題で、いったん計画を見直すということである。ただ、イージス・アショアについては配備予定地のひとつである秋田県での反対運動もあり、どうもこのまま中止になりそうな雰囲気も漂っている。

 この件に関して、さまざまな意見がすでに出ている。筆者の意見については、すでに5月にこちらに書いている。

◎「現実を無視する地上イージス不要論の危ないこじつけ」(2020年5月12日)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60482

 実際には防衛省は、イージス・アショアを対中国軍を想定したイージス艦の負担軽減とリンクさせて考えていたし、中国の巡航ミサイルにも対処できる能力の付与なども話題になっていたが、北朝鮮の核ミサイルへの備えという観点だけでも今回の「配備計画の停止」は問題が多い。ここではいくつか、今後を考えるうえで留意しておくべきことを列記してみたい。