(英エコノミスト誌 2020年6月13日号)

ドイツ政府は財政赤字計上に手を染めたが、続かない可能性もある。
ドイツでは毎週木曜日の午後5時になると、最も傑出した経済学者やエコノミストたちが40人近く、髪を整えたり咳払いをしたりする。
ビデオ会議アプリ「ズーム」を介して、連邦財務省との議論に参加するためだ。
会議は、同省幹部が気になっていることなら何でも議題になる90分間のセッションだ。
今年3月に行われた新型コロナウイルス感染症「COVID-19」の危機についての非公式会合から発展したもので、すでにいくつかの政策手段のヒントを生み出している(オーラフ・ショルツ財務相兼副首相が時折議長を務めている)。
また、ドイツは財政赤字を恐れるケチな国として風刺されることが多いが、この会議を見ていると、現在の姿はかなり違ったものになっていることがよく分かる。
ドイツの連立内閣は6月3日、少なくとも1300億ユーロ(約1480億ドル)規模にのぼる景気刺激策を発表した。
3月に議会を通過した1230億ユーロの補正予算に続く措置で、連邦政府による新規の借り入れは今年、国内総生産(GDP)比6%相当に達する可能性がある。
また、これとは別にドイツとフランスは、COVID-19で大打撃を被った欧州連合(EU)加盟国への投資資金を調達するために、EUが5000億ユーロの共同債を発行すべきだという認識で一致している。
ドイツの頑固さに長らく絶望していた部外者にしてみれば、まさにキツネにつままれたような気分だろう。