(英フィナンシャル・タイムズ紙 2020年6月12日付)

米国は「戦場」から離脱してしまいそうだ

 コロナウイルスに降伏するにしては、今は奇妙なタイミングだ。

 右から左まで、保守からリベラルまで、米国のあらゆる思想の人たちが戦争の言葉を受け入れていた。その比喩は明らかに浅はかすぎた。

 今、この戦いを格下げすることは、ジョージ・ワシントンが独立戦争中にデラウエア川を渡った後に休暇を取るようなものだ。

 任務完了を宣言してもいいのはワクチンができた時で、少なくとも1年は先のことだ。

 ところが、ドナルド・トランプ大統領を含め、米国の大部分が勝利をうたうビクトリーランをしている。

 最も信頼の厚い米国科学の顔であるアンソニー・ファウチ博士(国立アレルギー感染症研究所長)がもう、トランプ氏の近くにいる姿を撮影されないのも不思議はない。

 ファウチ氏が最後にホワイトハウスからテレビ出演したのは4月のことだ。その同氏はつい先日、新型コロナウイルスのパンデミックは「まだ終わりに近づいていない」と述べた。

 ファウチ氏が所属しているコロナ対策タスクフォースについては、同じことが言えない。今では組織が解体されつつある。

 このシグナルは解読の必要もない。ホワイトハウスは戦争遂行への関心をすっかり失い、コロナとの戦いは今、州の領分となっている。