(英エコノミスト誌 2020年6月13日号)

世界中に広がっている抗議活動。写真はロンドン(6月12日、写真:ロイター/アフロ)

 ジョージ・フロイドさんは有名人ではなかった。殺害された場所も米国の首都ではなく、46番目に大きな都市の街角だった。

 だが、その死において、フロイドさんは突如、米国中の関心を引きつける運動のかなめ石になった。

 さらに驚いたことに、フロイドさんに触発された抗議行動は米国内だけでなくブラジル、インドネシア、フランス、オーストラリアなどでも沸き起こった。

 フロイドさんの遺産は社会改革を告げる有望な兆しだ。この貴重な遺産を無駄にするわけにはいかない。

あらゆる形の差別の検証に発展

 当然ながら、注目されるのは米国だ。

 大都市ばかりでなく沿岸部から遠く離れた小さな街でも見られるこの抗議行動は、米国におけるデモ行進の長い歴史の中でも最も大きな広がりを見せているかもしれない。

 フロイドさんの死を受けて怒りが噴出した後のデモ行進は、本誌エコノミストが先週期待した通り(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60821)の非常に平和的なものになっており、すべての人種の普通の米国民を引き寄せている。

 おかげで、ドナルド・トランプ大統領のように、無秩序の脅威を土台にした選挙戦略を立てるのにこの抗議行動を利用できるかもしれないと考えた人々は困惑している。

 アフリカ系米国人に対する警察の暴力への抗議として始まったこの運動は今や、あらゆる形の差別の検証へと発展した。

 米国以外の国々で行われているデモ行進については、その目的を特定するのが難しい。