昨年5月、来日したトランプ大統領と、千葉県・茂原カントリー倶楽部でゴルフをする安倍晋三首相(写真:AP/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 6月17日に、通常国会の会期が終わる。コロナに始まりコロナに終わる国会である。感染者数も死者数も「世界の優等生」的な状態で新型コロナウイルスの第一波は収束しつつある。

 しかし、先週末以降に発表された世論調査でも、安倍内閣の支持率は低迷を続けている。

マスク、一律10万円、休業補償、いずれも迅速に届かず

 時事通信は、5月21~6月1日に郵送方式で世論調査を行ったが、内閣支持率は38.1%、不支持率は61.3%である。前回3月には個別面接方式だったので、単純には比較できないが、「支持する」が39.3%、「支持しない」が38.3%、「分からない」が22.0%である。支持率は1.2%しか低下していないが、不支持率が23.0%も上昇している。政府のコロナ対策に関しても、「評価する」が37.4%、「評価しない」が60.0%である。

 政党支持率は、自民党が30.9%、立憲民主党が6.6%、日本維新の会が7.7%、公明党が4.0%、共産党が3.4%、国民民主党が1.2%、「支持政党なし」が42.0%である。無党派層の多さが目立つが、これは自民党離れした有権者が野党ではなく、こちらに流れていくからである。

 読売新聞の世論調査(5~7日)では、内閣支持率が40(-2)%、不支持率が50(+2)%である。読売新聞は安倍政権寄りなので、10%も不支持率のほうが高いというのは、安倍首相にとってはやはり深刻である。政府のコロナ経済対策については、満足27%、不満足64%である。問題はスピードであり、とにかく全ての対応が遅い。自粛要請があっても、営業しないと生きていけない状況なのであり、不満が高まっている。黒川検事長に対する処分に関しては、「軽すぎる」が68%である。安倍政権に対して批判的な有権者が多い。

 日経新聞の世論調査(5~7日)を見ると、内閣支持率が38(-11)%、不支持率が51(+9)%である。これは、第二次安倍政権が2012年12月発足して以来の最低の数字である。経済対策については、「遅い」が73%、「早い」が18%、コロナ対策では、「評価する」が46(+8)%、「評価しない」が46(-9)%で拮抗している。黒川検事長処分に関しては、適切が29%、不適切が62%である。この11%という支持率低下は痛い。

 6、7日に行われたJNNの世論調査によると、内閣支持率が39.1(-8.2)%、不支持率が59.2(+8.4)%である。この支持率もまた、第二次安倍政権発足以来の最低である。政府のコロナ対策については、評価が48%、不評価が42%で、黒川検事長処分は「軽すぎる」が75%。

 以上、全ての調査で、安倍内閣の支持率は低下している。そのような中で、与党が国会を延長することは得策ではないと判断するのは当然である。

 総額31兆9114億円の第二次補正予算案の審議では、10兆円という巨額の予備費、Go Toキャンペーンの委託費や持続化給付金の再委託問題について問題になったが、12日に成立した。

 二次にわたる補正予算は、新型コロナウイルスの感染拡大、それへの対応としての緊急事態宣言に伴う経済対策のためであった。前例のない巨額の規模であっても、アベノマスク、10万円の現金支給、休業補償など、全てが迅速に行われていない。これが国民の不満を呼んでいるのである。