(英エコノミスト誌 2020年6月6日号)

一帯一路では、投資効率が疑問視される案件が少なくない(写真はアフリカ・ウガンダ)

習近平国家主席の最大のプロジェクトはいかにして生き延びるのか。

 つい1年ほど前のこと。中国の「一帯一路」構想に参加した国々の首脳が北京に集まった際、習近平国家主席は演説にことわざを散りばめた。

「河海不擇細流、故能成其深」

(河海は細流を択ばず、故に能くその深をなす)もその一つ。

 細い川だからと拒んだりせず、絶え間なく水の流れを受け入れるからこそ海は深くなるという意味で、外国でのインフラ整備に巨額の資金を投じるこの事業はモノ、カネ、技術のグローバルな流通を促進し、それに伴い経済成長をもたらす、と力説する時に言及された。

 パンデミックに見舞われた今、本当にそうだったら良かったのにと思っている国は多いかもしれない。

 実際には、政府が一帯一路関連の債務の返済に苦労するようになり、プロジェクトが立ち往生している例もある。

 中国の経済自体も勢いが鈍っている。シルクロードはますます険しくなっているのが実情だ。

 一帯一路構想は習氏の外交政策の目玉だ。

 習氏は2017年、これを中国共産党の規約に書き込ませることで、この構想に神聖な政治的位置づけを与えた。それ以降、この構想を称賛することは義務になった。

 中国の国営メディアはその決まりの通りにしている。共産党傘下のタブロイド紙「環球時報」は「一帯一路の協力は質の高い発展の段階に入りつつある」という見出しを掲げ、共産党の代弁機関である「人民日報」のウエブサイトは、「一帯一路はグローバル経済回復の触媒になるだろう」とう謳い上げた。