(英エコノミスト誌 2020年6月6日号)

白人警官に殺されたジョージ・フロイドさんを悼み、人種差別に抗議してホワイトハウス前に集まった人々(6月6日、写真:AP/アフロ)

米国各地の都市で抗議行動に参加した人々は進歩をもたらすのか、それとも自らが支持する大義を後退させてしまうのか。

 米国ではウイルスのせいで10万人が命を落としている。

 有人宇宙飛行という偉業は、この国に創意工夫の才があることを明らかにしてみせた。

 人種による不公平に触発された抗議行動が全米各地で展開されたことは、この国の醜い側面を世界中に示すことになった。

 有権者は11月、「法と秩序」を主張の軸に据えて立候補する共和党員か、民主党を代表するぱっとしない副大統領のどちらかを選ばなければならない――。

 以上は1968年の話だが、2020年の話でもある。

 1968年のウイルスはインフルエンザのウイルスで、有人宇宙飛行を成し遂げたのはアポロ8号だった。しかし、不公平は今日と同じ腐食性を持っていた。

 作家のジェイムズ・ボールドウィンが1960年代の初めに書いたように、人種差別は「良き世界を作り上げようという米国のすべての努力を、堕落させない場合でも弱体化させる。ここでも、そこでも、どこででも」。

 今日、丸腰だったアフリカ系米国人のジョージ・フロイドさんが白人の警察官に殺害されたことを受けた抗議行動が、全米の350都市以上で沸き起こった。

 この警官は、やめてくれという嘆願にも周囲の群衆の警告にも耳を貸さず、9分間近くフロイド氏の首を押さえつけて絶命させた。