陸上自衛隊の富士総合火力演習(令和2年、陸上自衛隊のホームページより)

 6月1日のJBpressで「高校までは4月、大学は9月入学のメリット―大学入学前に福祉・農業や自衛隊の社会体験の義務づけ」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60724)と題した拙論を掲載した。

 副題の中の「福祉・農業」は技能実習生を受け入れている職域代表として示したものであるが、「自衛隊の社会体験」については誤解されないために説明を加えたい。

 自衛隊は自己犠牲をもって国家・国民に奉仕する公共財であるが、性質上、「死」も厭わない本来任務の成果を顕示できないので、国民の側から接近して理解してもらう以外にない。

 その「理解」が教育で与えられないために誤解されており、「体験」で正しく理解してもらいたいというだけで、断じて徴兵制に服せよと主張したいわけではない。

旧軍と自衛隊への誤解の根源

 中国大陸での日本軍の戦線拡大と対米英戦争への突入はコミンテルンの策動によるものであった。

 さらに日本に懲罰を加えたかった連合国は事後法を制定して東京裁判を行い、日本軍の悪魔化を図った。

 日本軍の中国駐屯は国際条約で認められていたが、盧溝橋近傍で夜間訓練を行っていた日本軍に共産党軍が銃撃したことに端を発し、支那事変が勃発する。

 不拡大方針をもっていた日本は停戦協定を結ぶが、すぐに破られる状況を何度も繰り返した。中国側はドイツ人顧問の指導で強固な要塞を構築していた上海へ拡大し、日本は邦人保護もあり、致し方なく応戦する。

 上海戦で多大の犠牲を出しながらも勝利した日本軍は功名心にかられ、中央の制止を聞かずに南京へ向かって追撃する。

 他方、蒋介石は宣伝戦に戦略転換し、東京裁判では10万人超の南京市民を虐殺したと烙印を押される。