5月29日、自身に向けられた数々の疑惑について釈明会見を開いた尹美香氏。その3日後、今度は太平洋戦争犠牲者遺族会から厳しい批判を浴びせられた。(写真:Lee Jae-Won/アフロ)

 渦中の「正義記憶連帯」とは別のもう一つの慰安婦関連団体「太平洋戦争犠牲者遺族会(以下、遺族会)」が6月1日に記者会見を開き、この日、国会議員となった尹美香(ユン・ミヒャン)氏の辞任と正義記憶連帯の解体を求めた。

 尹美香氏とは、慰安婦支援団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(以下、正義記憶連帯。旧・挺対協)の前理事長で、近年、韓国の慰安婦問題を主導してきた人物。5月に行われた韓国の国会議員選挙で与党陣営から立候補し、当選していた。

 この日の会見には梁順任(ヤン・スンイム)会長と元慰安婦の遺族2人が出席し、挺対協と尹氏に向かって、「不正の泥沼」「天人共に怒るべき集団」などと猛批判を浴びせた。

「挺対協は遺族会の功績を横取りした」

 遺族会の主張は大きく二つであった。まずは、正義連(挺対協)が自分たちの功績を横取りしたという主張だ。

「91年に自らが慰安婦だったと告白した故金学順氏をはじめ、計35人の原告団が2度も日本へ渡り、韓日協定以来初の対日訴訟を起こした。その時、尹美香氏は所属団体もなく、35人の原告団に名前も入ってなかった。その日以来、尹氏は日本軍慰安婦問題を解決するために先頭に立ちたいと言って、挺対協を作った」

「遺族会の努力で『慰安婦生活安定支援法』が制定され、242人の元慰安婦らが登録した。その名簿を確保した挺対協は、遺族会が提案した慰安婦住居問題の解決も挺対協が主導して作ったと主張するなど、すべての功績を横取りした」

 以後、韓国の慰安婦問題をリードするのは、挺対協と尹美香氏になった。