(英フィナンシャル・タイムズ紙電子版 2020年6月1日付)

フロイドさんを窒息死させた警察官への抗議活動のためニューヨークのブルックリン橋を徒歩や自転車で行進するデモ参加者(5月31日、写真:AP/アフロ)

「過去は死んでいない。過去でさえない」――。

 作家のウィリアム・フォークナーはこう言った。米国のいくつもの都市が炎上した過去72時間は、1968年との類似点を呼び覚ました。

 都市部の白人が郊外へ逃れる「ホワイト・フライト」が起き、リチャード・ニクソンの大統領選出で終わりを迎えた年のことだ。

 ニクソンは、白人の不安感にそれとなくアピールする「法と秩序」の政策要綱を掲げて勝利を収めた。

 ドナルド・トランプ大統領は暗示的な言葉は使わない。

 先週、ミネアポリスの警官が黒人男性のジョージ・フロイドさん(46)を窒息させた後、同市で勃発した抗議活動に対し、トランプ氏は「略奪が始まった時には発砲が始まる」とツイートした。

 このフレーズは1968年に第三党から大統領選に出馬した人種隔離主義者のジョージ・ウォレスが使ったものだ。

 共和党は当時、公民権運動の革命後に憤慨している白人の民主党支持者を勝ち取るために「南部戦略」に乗り出した。

 トランプ氏の2016年の大統領選のキャンペーンは、そのアプローチの典型例だった。