香港の一国二制度は風前の灯火となってしまった

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(英エコノミスト誌 2020年5月30日号)

香港の反体制派を抑え込むために中国が前代未聞の対策に動いた。世界のほかの国々も憂慮すべきだ。

 香港の住民は2つのことを望んでいる。

 1つは、どのように統治されるかを自分たちで選ぶこと。もう1つは法の支配を受けることだ。

 中国共産党はどちらの望みも非常に恐ろしいことだと考えているため、香港で昨年大規模な抗議行動が始まった時には、これを粉砕すべく軍隊を派遣するとの予想が多くなされた。

 しかし共産党は動かず、じっと好機を待った。

 そして新型コロナウイルス感染症「COVID-19」に世界中が気を取られ、ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離の確保)のせいで大規模な抗議行動が難しくなっている今、比較的静かな方法を選んで、誰がボスであるかを示した。

 これを受け、中国は世界からこれまで以上に幅広く非難されたり報復を受けたりする恐れがある。それも、この香港についてだけではない。南シナ海や台湾についてもだ。

 中国は5月21日、中国共産党にとって脅威だと見なされる香港人は党による処罰の対象になると事実上宣言した。

 北京で起草された新しい国家安全法では、政権転覆罪と国家分裂罪という犯罪が新たに設けられる。

 どちらもまだ定義されていないが、「政権転覆」と「国家分裂」という言葉はともに、新疆ウイグル自治区やチベットをはじめとする中国各地で反体制派を監禁する際に使われている。