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(宗 裕二:日本能率協会コンサルティング 品質経営研究所所長、プリンシパル・コンサルタント)

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的拡大は製造業にも計り知れない影響を及ぼしました。本連載では、アフターコロナの時代にモノづくりの現場はどう変わるのか、どう変わっていくべきかについて、3回にわたって考えています。今回はその第2回です。

日本回帰のために考えるべき要件

 アフター・コロナのモノづくりを考えるにあたって大きなテーマの1つになるのが、どこでつくるか、です。よりリスクの低いと思われる地域へ移転する計画を立てる必要があるかもしれません。高付加価値の製品であれば、日本国内での生産も、リスク回避につながるという観点から選択肢に入ってきていると思います。現在のロケーションで生産を続けることが決してベストではないことは既に自明の理です。今後のあり方として、日本回帰を考え検討する良い機会です。

 グローバリゼーションによって今まで発展してきた産業界ですが、そのグローバリゼーションによって多くの問題が浮かび上がりました。そうした問題を鑑みると、ナショナリズムがますます進む方向なのかもしれません。

 ナショナリズムが進むと、原材料の調達から消費までの一連のビジネスサイクルを限られた地域で回して利益を出す必要が出てきます。モノづくりの生産スタイルも「地産地消」を意識しなければならないのかもしれません。そのためには、一連の生産スタイルのサイクルを相当コンパクトにし、さらに、効率的に運営できるように変革しなければならないでしょう。

 現状の製品の中から高付加価値製品を特定し、今後の企業としての社会に対する貢献意義を改めて確認することは、新たな生産スタイルを考える上で必要でしょう。また、今の仕事や作業の進め方を再確認し、より付加価値の高い仕事のやり方へ変革することを今まで以上のスピードで進めなければなりません。そしてコンパクトな生産現場を構築すべく、その考え方を確立しなければならないと思います。この一連の生産スタイルのサイクルを相当コンパクトにするという考え方は、どのような製造戦略を考えるにしても基本的思考として必要なものであると考えています。

品質保証システムのあり方を見直す

 今後の経済環境に適応した新しい生産スタイルの構築を考えるにあたり、現状の製品の中から高付加価値製品を特定し、社会に対する貢献意義を改めて確認することは、企業にとって当たり前かつ必要なことであろうと思います。