(英エコノミスト誌 2020年5月23日号)

ロシアではクレムリンにいるボスを喜ばすためだけにデータが作られる

旧ソ連の指導部と同じく、ウラジーミル・プーチン氏の体制も虚偽まみれだ。

 新型コロナウイルス感染症「COVID-19」との戦いで、ロシアは西側諸国よりも成功している。優れた医療システムと卓越した指導者のおかげだ。

 感染者の数こそ世界で最も高い部類に入るものの、致死率はほとんどの国の7分の1にとどまっている――。

 ロシアの統計を信じるのであれば、そういうことになる。

 独立系の専門家には、信じる向きはほとんどいない。ロシアの公式統計によれば、COVID-19の感染者は30万人を少し超えるだけで、死者は2900人だ。

 その通りなら致死率は1%に満たず、ドイツの4.5%や英国の14%を大きく下回る。

 しかし、ロシア医療の最前線で働くプロの医療従事者の致死率は(医療従事者は自らの記録を独自に残している)比較可能な国々の約16倍に達しており、公式統計があまりにも良すぎることを示唆している。

 それにもかかわらず、こうした公式統計を受けてウラジーミル・プーチン大統領は5月11日、「非労働日」期間の終了を命じた。

 非労働日とは、プーチン氏が公式的には宣言しなかった全国規模のロックダウン(封鎖)の遠回しな表現だ。