(英フィナンシャル・タイムズ紙 2020年5月20日付)

パンデミックは世界的なインフレをもたらすのだろうか?

 新型コロナウイルスのパンデミックが戦争になぞらえられている。ただし、相手はほかの人間ではなく、病気だ。

 戦争と同じように、パンデミックは各国経済の形を変え、公的支出と金融支援の大幅な増加を要求している。

 間違いなく、以前よりはるかに大きな公的債務と中央銀行のバランスシートを後世に残すことになるだろう。

 これは果たして、この長い債務サイクルがインフレで終わるしかないのかどうかという疑問に肯定形で答えなければならないことを意味するのか。それは違うが、インフレで終わる可能性はある。

 第1次世界大戦の後、ドイツは1923年のハイパーインフレで、物価上昇による債務負担の軽減で国内戦争債務を解消した。

 第2次世界大戦が終わった時には、英国の政府債務が国内総生産(GDP)比250%に達していた。緩やかなインフレが債務の一部を軽減した。

 では、これから何が起き得るのか。まず、初期の条件から見ていく必要がある。

 我々は、高水準の民間債務、低金利、しぶとい低インフレを抱えた状態でこの危機に突入した。

 高所得国から成る主要7カ国(G7)では、1945年当時の英国のそれに近い債務を抱えた国はない。だが、危機以前の段階で、日本の純債務はGDP比154%、イタリアは121%にのぼっていた。