沖縄県宮古島の空撮写真(出所:Wikipedia

(北村 淳:軍事社会学者)

 半世紀にわたって、2年に一度、ホノルルを本拠地として開催されてきた多国籍海軍合同演習「リムパック」が、新型コロナウイルスの影響で中止に追い込まれそうになっていた。しかし、何としてでも伝統ある大演習を中止させたくないと考えるアメリカ海軍は、実施期間と演習内容を大幅に縮小して、なんとかリムパック2020を開催することを決定した。

 通常、リムパックは6月下旬から8月上旬にかけて、ハワイ周辺と南カリフォルニアで多数の国々から集結した海軍艦艇や航空機、それに陸上部隊などによって、様々な洋上作戦や水陸両用作戦、災害救助作戦などの合同演習が実施されていた。

 それに対しリムパック2020は、8月17日から31日までの2週間、ハワイ周辺海域における洋上演習だけに限定して実施される。また、新型コロナウイルス感染を警戒するハワイ州民やホノルル市民との接触をゼロにするため、参加する艦艇に乗り組んでいる将兵の上陸は一切禁止されることになった。

 そして、洋上での艦艇や航空機だけでの合同演習に限定され、海兵隊や陸上自衛隊などの陸上部隊が加わって実施されることになっていた水陸両用作戦や地対艦ミサイルなどの演習は中止されることになってしまった。

惜しまれる地対艦ミサイル演習の中止

 トランプ政権は中国とロシアをアメリカの主たる仮想敵と名指ししている。そのため、リムパック2020を主催するアメリカ海軍大平洋艦隊の主敵は中国海洋戦力ということになる。