(英フィナンシャル・タイムズ紙 2020年5月7日付)

新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、低金利にどっぷり漬かった米国企業の経営を根幹から揺るがしている

 米人気アニメの主人公ホーマー・シンプソンはかつて、「人生の問題すべての原因にして、その解決策でもあるアルコール」に乾杯しようと提案したことがある。

 債務の深酒で酔っ払ったグローバル企業にとって、このセリフは不快な皮肉をとらえている。

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)は、借り入れで大きくレバレッジを利かせたバランスシートを持つ企業に特に大きな経済的危険を突きつけている。今では、これは実業界の大部分を含むグループだ。

 ところが、唯一実行可能な短期的解決策は、危機が過ぎ去るまで何とか生き延びるために、さらにお金を借りることだ。

 その結果、企業はこれまで以上に危険な債務の山を抱えて次の危機に突入することになる。このサイクルは打破する必要がある。

 米国では、非金融企業の債務が危機の始めの段階で約10兆ドルにのぼっていた。率にすると国内総生産(GDP)比47%で、過去最大だ。

 普段の状況であれば、債務の山も問題にならない。かつてない低金利のおかげで、債務を負担するのが楽になっていたからだ。

 企業経営者はレバレッジを利かせることで、単に自分に与えられたインセンティブに従っているだけだった。債務は安く、税控除の対象になるため、債務の利用を増やすと利益が増えるからだ。

 だが、危機に陥っている時には、コストがいくらであれ、債務は危険物と化す。