(英エコノミスト誌 2020年5月9日号)

FRBの買い支えによって米国株は高値を維持しているが・・・

金融市場と経済がかみ合わなくなっている。こんな状況は続くはずがない。

 株式市場の歴史にはドラマがたくさん詰まっている。1929年の大暴落、1日で株価が20%下がった1987年のブラックマンデー、1999年のドット・コム・バブルなどがその代表格だ。

 こうした前例がある以上、何が起きても不思議ではないはずだが、それでも過去8週間の値動きは注目に値する。

 米国の株価が衝撃的な急落を見せ続けた後、投資家が小躍りしそうな急騰を演じた。

 2月19日から3月23日にかけて、S&P500種株価指数は3分の1も下落した。ごくわずかな休みを挟んだだけで急反発し、それまでの値下がりを半分以上取り戻した。

 きっかけは、米連邦準備理事会(FRB)が社債を買い入れて大企業の債務返済を支援するとの報道だった。投資家はこれを受け、慌てることなくパニックから楽観論にギアを切り替えた。

 ウォール・ストリート(金融市場)から発せられるこの楽観的な見方に、読者は不安を覚えるはずだ。ほかの市場とはまさに対照的だからだ。

 例えば、英国や欧州大陸の株価の戻りはもっと鈍い。おまけに、メーン・ストリート(実体経済)とは天と地ほどの差がある。

 米国のロックダウン(封鎖)が緩和される一方、雇用への打撃は文字通り深刻で、4%だった失業率は1948年の記録開始以降で最高の約16%に上昇している(編集部注:8日発表の雇用統計では、失業率は14.7%だった)。

 また大企業の株価が上昇し、かつその大企業がFRBから支援を得ている一方で、小企業は政府からの支援金を得るのに四苦八苦している。