看護師たちへの表彰の席上、「真珠湾」持ち出すトランプ大統領

失業率14.7%、無視界飛行の金融市場

 ドナルド・トランプ大統領が再選に向けて有権者にアピールしてきたのは好調な経済。その2本の柱は失業率の低さと安定した株価だった。

 新型コロナウイルスはこの2つの金看板を吹き飛ばしてしまった。

 失業率は14.7%を記録。大恐慌直後の1940年以来、80年ぶりという歴史的な水準まで悪化した。

 株価は目下上昇を続けているが、これは米連邦準備制度理事会(FRB)の刺激策に相場が反応しただけのこと。足元の景気悪化は誰の目にも明らかで、景気刺激策が不十分とみればすぐに反落に転じるだろう。

 投資家が株価を見極める上で経済の健全性の目安とする国内総生産(GDP)などの経済指標はあてにならなくなっている。

 株価と経済の視界不良という乖離は相場上昇に不穏な空気を添えている。金融市場の見通しはあまりにも不透明で、まるで「無視界飛行」だという投資家もいる。

https://www.wsj.com/articles/stocks-keep-rallying-despite-lack-of-visibility-on-economy-11588498201

習近平称賛から一転、対中批判へ

 トランプ大統領が、怒り心頭に発するのは分かる気がする。それもこれも新型コロナウイルスだ。

 憎いのは中国・武漢発の新型ウイルスだ。それでもトランプ氏は当初は中国を名指しで攻撃することはなかった。

 米中間の良好な通商関係は、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との個人的な関係とともにトランプ氏にとっては再選に向けた「目玉商品」の一つだったからだ。

 新型コロナウイルス感染症の発生当初は習近平国家主席の感染阻止活動を高く評価していた。その後3月26日には、電話会談して感染阻止に向けた両国の協力強化を約束した。