新型コロナ禍で社会全体が苦しんでいる時に、テレビ局の流す番組に首を傾げたくなるものが少なくない

 今は非常時である。政府は緊急事態宣言を出して、全国民、官公庁、そして産業界などに三密状態の解消を呼びかけている。

 大企業も個人営業も新型コロナウイルスの集団発生を一刻も早く収束させるため、政府の要請に応えて一時休業などに協力している。

 誰が言ったか知らないが、三密では分かりにくい、要するに「集まるな、近づくな、閉ざすな」だから〝集近閉(=習近平)を避けよ″ということだと聞いた。

 新型コロナが中国で発生・蔓延したことを想起すれば、言い得て妙である。

 地上波テレビ(TV)では知名度の高い常連たちが、文化や芸能は人間に活力を与えるスパイスのようなもので、いったん消えてしまうとなかなか再興できないとして支援を呼びかけている。

「公演できず解散せざるを得ない!」「政府は何をしているんだ!!」「何とかならんのか?」などと、口角泡を飛ばして絶叫に近い声で呼びかけている。

 その呼びかけや「良し」である。しかし、番組表を見ると、「なんじゃこれは?」と思わせる為体でしかない。「いま必要なものか」どうかの視点でみれば、ほとんどがそうではない。

 一例を挙げると、食べ歩きや世界の不思議な行事や建築物などを観て歩くもの、バラエティやクイズ、あるいは韓流映画など、コロナ蔓延下の自粛とは関係ない、いや自粛要請下の放送としては疑問さえ抱かせるような番組が並んでいる。

 こうしたTV局の対応は残念である。自宅待機を強いられた国民は致し方なくTVを観ることも多くなる。そこに食べ歩きも世界見て歩きもないだろう。

 ここは生活が確立している常連には緊急事態の間だけでも席をはずしてもらって、公演できず困惑している人やグループなどに「生きのびる」機会を与えてはどうかと提案したい。