(英フィナンシャル・タイムズ紙 2020年4月24日付)

新しいエネルギーと古いエネルギー。価格を巡っても駆け引きが続く

 手放すためにお金を払わなければいけないものは、それほど多くない。

 伸びすぎた髪、屋根裏のネズミ、産業廃棄物、十代になった娘や息子――。そして4月下旬に原油もこの仲間に入った。

 4月20日の月曜日、原油先物のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)5月物の価格が1バレル当たりマイナス40.32ドルに急落し、史上初めてマイナス圏に突入したからだ。

 原油と言えば、人々が陰謀を企てたり渇望したり、ひどいときには戦争にまで踏み切ったりして手に入れようとしてきたモノだ。

 それが先日、短時間とはいえ、引き取った側がお金をもらえる状況になったのだ。

 原油価格の劇的な下落からは、今日の需要減少の深刻さが垣間見える。また、これをきっかけにマイナス価格という奇妙な現象にもスポットライトが当たっている。

 実は、マイナス価格は結構普通に見受けられる。

 電力市場から株式市場に至るあらゆるところで、流動性を高めるためにお金を払って注文を呼び込むということが行われている。

 だが、落ち着かない気分になることは間違いない。