ジャカルタにて、新型コロナウイルス感染症によって亡くなった人を埋葬する様子(写真:ロイター/アフロ)

(PanAsiaNews:大塚智彦)

 コロナウイルスによる感染拡大が止まらないインドネシアでは毎日、政府保健省が定例記者会見を開き、累計の感染者数と感染死者数を発表している。その数は増加の一途をたどっているのだが、インドネシアの医師協会が「感染死者の実数が政府発表では過小に抑えられているのではないか」と主張し始め、大きな波紋を呼んでいる。

 実は同様の見方は、国内で最も感染者、感染死者が多い首都ジャカルタ特別州のアニス・バスウェダン知事も以前から示していた。さらに地元メディアの報道によれば、地元ジャカルタの棺製造業者が実際に請け負っている棺注文数からも政府発表への信頼が薄らいでいるのだという。

 果たしてインドネシア政府は、数字のトリックか何かを駆使し、感染者数を過小発表しているのだろうか。

本当の死者数は公表数の倍以上の可能性

 4月22日現在、インドネシア全土のコロナ感染者数は7418人で死者は635人となっている。18日までは東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国の中で感染者、死者ともに最高を記録していた。ただしその後感染者数については、19日からシンガポールで外国人労働者が集団生活をしている宿舎でクラスターが次々と確認され、21日現在で感染者数9125人と激増して域内最悪となったため、インドネシアは2番目となっている。

 しかし感染死者数に関しては、シンガポールはわずか11人に留まっており、インドネシアの数は群を抜いている。また感染者の死亡率が約8.6%という数字も、世界的に見ても極めて高いものとなっている。