(英エコノミスト誌 2020年4月18日号)

新型コロナウイルス感染症への対応で、米国のトランプ大統領は世界のリーダーとしては失格だった。

新型コロナが地政学に及ぼす影響は、複雑でとらえにくいが芳しくないものになる。

 中国にとって、今年は散々な出だしだった。呼吸器に害を及ぼすウイルスが武漢で広まった時、共産党幹部は本能的にもみ消しにかかった。

 一部からは、この一件は中国の「チェルノブイリ」になるかもしれないとの指摘も聞かれた。かの原発事故をめぐるクレムリンのウソが、旧ソビエト連邦の崩壊を早めたことを引き合いに出した予言だ。

 しかし、この予言は外れた。

 中国の与党は初動でこそつまずいたものの、息をのむほどに大規模で厳格な隔離政策を素早く実行した。ロックダウン(封鎖)は成功したように見える。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の新規感染者数は微々たる数字まで減った。工場は操業を再開し始めている。

 研究者たちはワクチン候補の試験を大急ぎで行っている。その一方で、公式統計の死者数は英国、フランス、スペイン、イタリア、米国などをはるかに下回っている。

 中国はこの状況を勝利として称えている。大規模に行われているプロパガンダ作戦によれば、この国は強力な一党支配のおかげで今回の流行を抑え込んだ。

 今では、例えば3月1日から4月4日までの間に40億枚近いマスクを提供するなど、世界に医療備品を供給することで慈悲深さを発揮している。