(英エコノミスト誌 2020年4月11日号)

国民に人気の高いブラジルのジャイル・ボルソナロ大統領(3月15日撮影、写真:ロイター/アフロ)

ボルソナロ大統領による新型コロナへの無謀な対応は、いずれ自分に跳ね返ってくる。

 疑いを抱いていた人が一人、また一人といった具合に医学と和解していった。

 今では、新型コロナウイルス感染症「COVID-19」による公衆衛生への脅威を否定し続ける統治者は、世界で4人だけだ。

 1人目と2人目は、旧ソビエト連邦から分かれたベラルーシとトルクメニスタンの独裁者だ。3人目は中米の熱帯の国、ニカラグアで独裁を敷くダニエル・オルテガ大統領。

 そして4人目は、疲弊しているにせよ偉大な民主主義国家であるブラジルの選挙で選ばれた大統領である。

 ジャイル・ボルソナロ大統領は、ウイルスの封じ込めに取り組んでいる自分の政府の邪魔をしている。この振る舞いは、ボルソナロ大統領時代の終わりの始まりを告げることになるかもしれない。

 元陸軍大尉で軍政に好感を抱いているボルソナロ氏は、ブラジルで新型コロナウイルスが初めて見つかった2月後半以降、ずっと事態を軽視している。

 このウイルスによる感染症を「ちょっとしたインフルエンザだ」と切り捨て、「ウイルスには男らしく立ち向かう。ガキみたいなまねはしない」と述べた。

 そして、ご丁寧にも「我々はみな、いつかは死ぬんだ」と言ってみせた。