(英フィナンシャル・タイムズ電子版 2020年4月10日付)

ニューヨーク・マンハッタンのウォール街にあるニューヨーク証券取引所

 昔々、そう、丸2カ月前のこと。やたらに元気な米国のテレビ司会者、ジム・クレイマー氏は自由市場と株式を愛していることで有名だった。

 そのクレイマー氏は今、新たに関心を示していることがある。

 ドナルド・トランプ大統領の率いるホワイトハウスを説得し、新型コロナウイルス感染症「COVID-19」と戦う資金を「戦時国債」の発行で調達させようと考えているのだ。

「戦時国債――今こそ、これを年限30年、表面金利2%で数兆ドル発行すべだ」

 クレイマー氏は先日ツイッターにこう投稿し、国内の投資家は「この証券を欲しがっている。我々はこの戦争に勝ちたいんだ!」と吠えた。

 トランプ氏がこの声に耳を傾けるかどうかは定かでない。

 ホワイトハウスには、かつてニュース専門放送局CNBCでクレイマー氏の同僚だったラリー・クドロー氏が主任経済顧問(国家経済会議=NEC=委員長)として加わっており、この戦時国債を「長期投資の対象」として「全面的に支持する」と語っている。

 しかし、スティーブン・ムニューシン財務長官はそれほど納得していないようだ。無理もない。

 4月9日の市場では米国債30年物が1.4%の利回りで売買されており、利息負担がそれよりも大きくなる国債の売り出しを直接正当化する理屈は見当たらない。