東シナ海に展開する米海軍(2020年4月10日、米海軍のサイトより)

「第1列島線に地上発射ミサイル配備」を

「『第1列島線に地上発射ミサイル』米軍司令官、対中国で報告書」と題するワシントン発の時事通信電(4月6日)は以下のように報じている。

「米軍の対中国戦略を担うインド太平洋軍のデービッドソン司令官が、沖縄から台湾、フィリピンを結ぶ第1列島線への地上発射型ミサイル配備や、米領グアムの防空・ミサイル防衛体制強化などに向けた支援を訴えていることが5日、同司令官が米議会に提出した報告書で明らかになった」

 デービッドソン司令官による「第1列島線に地上発射ミサイル配備」という要請は、米軍の海洋プレッシャー(Maritime Pressure)戦略に基づくものと思われる。

 海洋プレッシャー 戦略とは次のようなものだが、まだ正式に採用されているわけではない。

米国の海洋プレッシャー戦略とは

中国の接近阻止・領域拒否(A2/AD)戦略

 中国は実質的に“島国”である。中国は、通過不能の地形や荒地に囲まれており、周辺地域から事実上隔離されている。

 中国の北方には人口がまばらで横断が困難な、荒涼としたシベリアとモンゴルの大草原地帯が控えている。

 南西には通過不能なヒマラヤ山脈がある。

 ミャンマー、ラオス、ベトナムと接する南部国境は山あり密林ありで、東には大洋が広がる。

 カザフスタンと接する西部国境だけが大人数の移動が可能だが、それでも、楽な移動はできない。

 中国が、経済的に成長し、14億人の人民を養うためには「海」に依拠せざるを得ない。中国の「一帯一路」戦略が出てきたのはそのような理由による。