4月9日、ロンドンのピカデリー・サーカスの巨大スクリーンに、エリザベス女王と、女王がテレビ演説で述べた国民保健サービスの最前線に立つスタッフらへの感謝の言葉が映し出された(写真:AP/アフロ)

 ついに日本でも緊急事態宣言が発令され、新型コロナウイルスへの対応策が強化されつつある。しかし、元国連職員の谷本真由美氏によると、日本人の捉え方はまだまだ甘すぎるという――。イギリス在住の谷本氏だからこそ知っている、“日本には伝わってこない”欧州コロナ事情の最前線とは?

欧州とはまったく異なる日本の“空気感”

 このところ日本のニュースを独占するのは新型コロナウイルスの話題ばかりです。

 もちろん私が現在住んでいるイギリス、欧州でも大変悲惨な状況が続いております。日本のワイドショーやネットニュースなどで多少なりとも状況は伝えられているので、ご存知の方も多いことでしょう。

 しかし、現在イギリスにいる私からみると、欧州が陥っている“本当の事態”というのが、日本ではそこまでよく伝わっていないのではないかと感じています。欧州と日本では、新型コロナウイルスに対する捉え方に違いがありすぎるのです。

 その決定的な違いは日本と欧州の“空気感”です。

 日本では週末に外出自粛の要請が出ても、お花見に出かけたり買い物に出かけたりしている人が大勢いました。

 先日、緊急事態宣言が発令されましたが、それでもいつものように会社に出勤する人はまだ大勢いますし、交通機関もほぼ通常通り動いている。日常生活ではそれほど変わりがありません。

 ところがイギリスをはじめ、欧州ではまったく状況が異なります。

 欧州では、第三次世界対戦が始まったのとほぼ同じような捉え方をしている人が大半なのです。

 私が必要以上に煽っていると思っておられますか?

 Twitterで書くような、いつもの冗談だと思われているでしょうか。

 違います。

 まったく違うんです。

 この状況は各国の経済だけではなく、我々が享受している文明そのものを破壊しかねない、恐ろしく、終わりが見えない“戦争状態”なのです。

 相手はどこにいるのかわからず、避けようと思っても忍び寄ってくる・・・。恐ろしい亡霊のような、しかし破壊力は爆撃以上の恐怖の塊なのです。