レオパレス21本社(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 コロナ騒動であまり注目されていないが、多くの施工不良物件が見つかったことで多額の損失計上を余儀なくされ、経営権が揺れている賃貸アパート大手のレオパレス21(以下、レオパレス)。現在同社は、あの“物言う株主”村上世彰氏との間で経営権を巡る激しい駆け引きを繰り広げている。

 第一幕はレオパレスに軍配が上がったものの、現在の第二幕での勝敗のカギを握るのは、村上氏とは別の、一世を風靡したあの“大富豪”だという。

筆頭株主の裏にいると噂されるあの大富豪

 第一幕の舞台は、今年2月27日に開かれたレオパレスの臨時株主総会だった。旧村上ファンドの流れを汲む投資ファンド「レノ」は、村上氏の側近である大村将裕氏を取締役へ選任する株主提案を行った。

 当初、レノが取締役全員の退任を求めていたことを考えれば、この提案は随分と遠慮がちなものだった。村上氏が取締役に推薦した大村氏は、清水建設や住友信託銀行などを経てレノに入社した経歴を持つ。が、賛成は議決権を有する株主の44%に止まり、否決されてしまった。

 レノやレノ側についている企業や個人が保有するレオパレス株は合計16.77%。保有率を考えれば、44%の賛同を得たのは大健闘と言えるのではないか。しかし、村上氏は大村氏の役員選任にかなりの自信を持っていたというから、到底満足できる結果ではなかったはずだ。村上氏の計算を狂わせたのは大株主、特に筆頭株主が賛同しなかったからだった。