(英エコノミスト誌 2020年4月4日号)

パンデミックによって強いられるトレードオフは今後ますます厳しいものになる。
危篤状態の患者が2人いるが、人工呼吸器は1つしかないという状況を想像してみてほしい。
イタリアのロンバルディア州やスペインのマドリードと同様に、ニューヨークやパリ、ロンドンの病院のスタッフも今後数週間でこのような選択に直面するかもしれない。
トリアージには、まさに身を切られるような判断が求められる。
医療従事者は、この人は手当をするが、この人にはできないと言わなければならない。誰が生き延び、誰が恐らく死ぬかを決めなければならないのだ。
世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルスのパンデミックは、このような苦しい選択を次から次へと投げかけてくる。
医療資源は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者に投じるべきか、それともほかの病気で苦しんでいる人々に振り向けるべきか。
失業や倒産はある程度やむを得ないとしても、ある程度とはどの程度なのか。
思い切った「ソーシャル・ディスタンシング(社会距離戦略)」でも感染拡大を止められなかったとしたら、どれほど続けるべきなのか――。