(英フィナンシャル・タイムズ電子版 2020年3月31日付)

イタリアの美しい景色の裏では住民たちが新型肺炎によるロックダウンで疲弊している

 新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するためにイタリアが全土のロックダウン(封鎖)に踏み切った当初、通り全体の住民が連帯感を示し、バルコニーから一緒に歌う動画が出回った。

 厳しい「ソーシャルディスタンシング(社会的距離の確保)」を敷く欧州初の実験が始まってから1カ月経った今、新たに出てくる動画は友好的なムードが薄れ始めていることを示唆している。

「もうお金がないんだよ!」

 3月27日にインターネットに投稿された動画では、イタリア南部の都市バーリの閉鎖された銀行の前で警備に当たる警官に向かって、ある男性がこう怒鳴った。

 地元メディアによると、この男性は国の給付手当を受けることができなかったのだという。

「うちに来て、キッチンを見て。完全に空っぽですよ」

 男性のパートナーはこう叫んだ。「あなたたちは最低だ。国は最低だ!」

 イタリアの日刊紙コリエーレ・デラ・セラが投稿した別の動画では、南部ナポリの男性がスーパーマーケットのレジまで来て、お金を払うことができない。

「この人は食料品を買うお金がなくて、食べられないんだ。ワインやシャンパンを買うわけじゃない。パスタとパンを買ったんだ」

 その場に居合わせた人が男性をかばい、店員を相手にこう訴えた。