(英エコノミスト誌 2020年3月28日号)

一方で、トップクラスの企業が活動の舞台にする社会も変わる。
裕福な国々では、政府やエコノミストたちが、新型コロナウイルスによるロックダウン(封鎖)がもたらすコストを少しでも早く推計しようと躍起になっている。
経済規模は10分の1縮小するのか、それとも3分の1が吹き飛ぶのか。不況は3カ月続くのか、6カ月続くのか、それとももっと長引くのか。確かなことは誰にも言えない。
同じように企業の取締役会でも、人々を不安にさせるうえに正確さも期待できない取り組みが行われている。
キャッシュフローはどれぐらい減るのか、生き延びるのに必要な資源が会社にあるのか推し量ろうとしているのだ。
混沌とした昨今でも、少なくとも1つ、はっきりしていることがある。いくつかの強い企業がその影響力をさらに高めそうだ、ということだ。
今日では、米ジョンソン・エンド・ジョンソンの社債のデフォルト(債務不履行)に備える保険のコストが、カナダ国債のそれよりも安くなっている。
米アップルが保有する現預金は総額2070億ドルに達しており、ほとんどの国の景気対策の規模を上回っている。英蘭ユニリーバは取引先に資金を融通している。
長期的には、これらの企業――トップドッグと呼ぼう――は弱体化したライバルより活発に投資したり、こうした競合企業を買収したりすることで市場シェアを拡大させるかもしれない。
ただし、パンデミック(世界的流行)収束後の世界では、こうしたトップドッグ企業が鎖につながれることにもなる。