3月27日、東京・千代田区の日本記者クラブで会見した中国の孔鉉佑駐日大使(筆者撮影)

(ジャーナリスト・吉村剛史)

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症がパンデミック(世界的な大流行)を引き起こす中、中国の孔鉉佑駐日大使は、台湾の世界保健機関(WHO)参加に関する筆者の取材に応じ、今後はWHO年次総会などにオブザーバーとして参加することが常態化してゆく、との見解を示した。「すでに関係各方面との調整が始まっている」という。

 台湾の蔡英文政権は中国の圧力の中、ここ数年中国が強い影響力を持つWHOから締め出されていたが、中国湖北省武漢市に端を発した新型ウイルスの感染拡大をめぐって、防疫における地理的空白地帯の存在が国際社会から疑問視されるなか、今後はこの問題で中国が柔軟な姿勢をとっていく方向性を示唆した。国際社会の批判をかわす狙いとみられる。

蔡英文政権になるとWHOから締め出されるように

 孔氏は27日、東京都千代田区内幸町の日本記者クラブで会見し、中国における新型コロナウイルス対応の現状などについて話した。

 しかし台湾のWHO加盟問題には触れられないまま時間切れとなったため、終了後、筆者が補足の質問として直接、孔氏に問いかけたところ、応じた。

 台湾がWHOから締め出されてきた状況が世界的に疑問視されている中、「今後は台湾がWHOにオブザーバー参加することが常態化するとみていいか」との質問に対し、「おそらくそうなるだろう。その方向ですでに関係各方面との話し合い、調整が始まっている」と日本語で答えた。