(英エコノミスト誌 2020年3月28日号)

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は各国の政府に強権発動を促した。それはパンデミックが収まっても元には戻らない危険性がある

パンデミックとの戦いでは大きな政府が必要になる。問題は、戦いの後にどのような形でこれを再び小さくできるか、だ。

 直径1000分の1ミリメートルのウイルスが、ほんの数週間で西側の民主主義国の様子をがらりと変えてしまった。

 国家が企業に活動を停止させ、国民を自宅に押しとどめている。経済を生命維持装置で生きながらえさせるべく、数兆ドルもの支出を約束している。

 韓国とシンガポールが指針になるとすれば、プライバシーは医療と電子データの分野で尊重されなくなる。これは第2次世界大戦後で最も劇的な国家権力の拡張だ。

 タブーが次々に破られている。

 一般の市民が普通のことをするだけで罰金刑や懲役刑になる恐れが生じているだけでなく、経済において政府が果たす役割の規模と範囲においてもそうなっている。

 米国では、連邦議会が国内総生産(GDP)比10%に相当するほぼ2兆ドルの政策パッケージを承認した。2007~09年の世界金融危機時に約束された支援の2倍に当たる規模だ。

 英国やフランスなどでは、GDPの15%に相当する信用保証が行われる。

 各国の中央銀行は紙幣を増刷し、かつては足蹴にしていた種類の資産の買い入れに使用している。そして各国の政府は少なくともしばらくの間、企業倒産を防ごうとしている。