沖縄に駐留する米海兵隊の訓練の様子(2020年3月23日、出所:米海兵隊)

(古森 義久:日本戦略研究フォーラム顧問・麗澤大学特別教授)

 アメリカ軍の海兵隊の新戦略は中国の南シナ海、東シナ海での海洋攻勢の抑止に新たな重点をおき、中国軍の島々への軍事攻撃を防ぐ目的を重視することが明らかとなった。この新戦略では従来の中東などでの地上戦闘やテロ攻撃への同海兵隊の対処が減り、アジア地域の海洋戦闘能力の増強が図られるという。日本の尖閣諸島の防衛にも前向きな影響が期待できる動きだと言えよう。

 アメリカ海兵隊は今後10年ほどの長期の新戦略を作成中で、間もなく公式に発表する。その発表に先立ち、新戦略の概要が同海兵隊の総司令官デービッド・バーガー大将により明らかにされた。

 バーガー司令官は同概要をウォール・ストリート・ジャーナルの軍事専門のベテラン、マイケル・ゴードン記者とのインタビューで説明し、その内容は同紙3月23日付の記事で報道された。

 同報道によると、バーガー司令官はまず海兵隊の新戦略の必要性について「国防総省の相対評価局(ONA)や民間のランド研究所の予測によると、西太平洋での中国との有事では中国軍が各種のミサイル攻撃などにより米軍の防空網、空軍基地、衛星システム、司令部機能などを破壊する能力が十分にあるのに対して、米軍は抑止の能力が不十分なことが判明したために、2017年に国防長官レベルでその不備への対処に海兵隊の太平洋での戦略の再構築が必要であることが決められた」と説明した。

 その結果、アメリカ海兵隊全体の2030年までを目標とする長期の新戦略の策定が開始されたという。