次世代型店舗を創ったパルコのマーケティング哲学

アフターデジタル時代に進化するマーケティング最前線 Vol.1

JBpress/2020.4.13

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<Brand Owner>
株式会社パルコ
執行役
CRM推進部、デジタル推進部担当
林 直孝氏

<Interviewer>
株式会社 日本HP
甲斐 博一

攻めと守りを両立する新部門

甲斐:「体験創造マーケティング」ブランドオーナーインタビュー記念すべき第一回です。題名にふさわしく昨年新しい次世代型商業施設「渋谷PARCO」を開業されたパルコさんにぜひお話を伺いたいと思っていました。

 まずはじめに、林さんの管轄されるグループデジタル推進室(2020年3月より「デジタル推進部」と「グループ情報システム推進室」に改組)は2017年に新設されたそうですね。どのような部門なのでしょうか。

:2016年まで私が責任者をしていた店舗のデジタル化を推進する部門と、従来からあったIT部門をひとまとめにした部門です。分かりやすく言えば、攻めと守りのITを1つのチームにした部門です。

 推進室内には店舗のデジタル化推進担当と情報システム担当の分け目はありますが、誰もが攻めにも守りにも参加するサッカーチームのようなイメージです。部門の統合により、基幹系とアプリのデータ連携が必要になるような開発もスピーディーに行えるようになりました。 

株式会社パルコ 執行役 CRM推進部、デジタル推進部担当 林 直孝氏

甲斐:なるほど。店舗を見る部署とIT部署が一体となったのですね。ITに造詣が深い林さんのバックグランドだからこそできたのではと想像しますが、マーケティングはどのような体制で行なっているのでしょうか。

:アプリの運用はCRM推進部が行います。そこから上がってくる集客や販売促進などの課題を、グループデジタル推進室がアプリの開発に反映するというのが基本です。

 一方で、グループデジタル推進室には顧客情報を分析するチームがあり、そこでの分析結果を基にCRM推進部が店舗での企画を立てる場合もあります。当社ではこの流れを、PDCAをもじってDAPC(Data→Analytics→Planning→Communication)と呼んでいます。

 データの蓄積と分析をグループデジタル推進室で行い、プランニングとコミュニケーションをCRM推進部が行います。そして、コミュニケーションを実行した後のデータを再度蓄積して、DAPCを繰り返します。本年3月の改組によりDAを担うデジタル推進部とPCを担うCRM推進部が同じ店舗事業部門で協働しながらさらにDAPCの速度を上げていきます。