薬局の前に列ができるのがソウルでは毎朝の光景になった(筆者撮影)

 新型コロナウィルスの拡散が世界中で止まらない。各国とも感染者増加を食い止めるのに必死だが、経済への影響も深刻だ。

 貿易依存度が高い韓国の産業界でも、警戒感と危機意識はひときわ高い。

 韓国政府は、2月末以降、ソウルから240キロほど南東部にある大邱(テグ)の新興宗教団体で発生した集団感染への対応に追われた。

 一時は、1日の感染者数が800人を超える日が続いたが、2020年3月第3週に入って感染者増加数は100人以下になってきた。

 それでも別の宗教団体やコールセンターでも集団感染が頻発し、依然として非常体制だ。

マスク不足で長い列

 一般国民の生活で、最も深刻なのは、「マスク不足」だ。

 政府は、生まれた年によって5つのグループに分けて薬局などでマスクを「限定販売」することを決めた。

 だが、1週間に購入できるマスクはわずか2枚。それも、薬局などで並んで買わなければならない。

 筆者の自宅の周辺でも毎朝のように長い列ができる。こんなに並んでも2枚買えるか、あるいは、売り切れでまた別の店を探さなければならない。

 数日前、タクシーの運転手とマスクの話になった。